Und morgen wird die Sonne wieder scheinen

10/08/2012

Historical Parsifal: Muck

1913年というと、来年で100年、即ち今年だと、99年前。

その頃はまだ、’今時’大戦、今で言う所の第一次世界大戦が翌年に始まる。
小生の父は当然ながら、祖父も生まれたかどうか微妙な年である。
Wagnerは没後30年で、息子Siegfriedは勿論 奥さんのCosimaも存命。バイロイトの統計によると、この年には音楽祭は開かれず。



録音は勿論、旧吹き込みで、よく形容されるような「春雨」というレヴェルではなく、隣で厚い牛肉を焼いていて、時々ポップコーンの音も聞こえる、ようなもの。それでも、テンポ、強弱などは分かる。観賞用ではないのは確かだが、当時の伝統を知る上での史料以上の価値はあると思う。



1927年になると、流石に、技術も上がり、電気吹き込みで、オケもぐっと増えるし、合唱が入っても広がりはあるし、オケとのミックス・バランスも上々。「春雨」は聞こえるが、リマスターが美味いせいか、肝心の中身も消す、程ではない。
尚、この年、ムックはバイロイトで同曲を振っている。

驚くべきは 、そのテンポの遅さ。SPの収録時間が限られている時代にも関わらず、この遅さはやはり「オーセンティック」なものなのか。第一幕の前奏曲は15:55でケーゲルの10:12の約1.5倍。
| ここ | によると、父クライバーの更に遅い、16分というのもあるらしいが。
実際に遅いが、遅すぎる、という感じも無いし、ロマンティック過ぎる、ということもない(ヘルツのはポルタメントかかり過ぎで、音の悪さも重ねて、酔っ払いそうになったが)


恐らく、まともに残っている(全曲では勿論無いが)パルジファルの録音の初めてのものであろう。次は、戦時中のクナの第三幕のもの。全曲はやはり、1951年のバイロイト実況のものまで待つ?と思ったら、1948年のモラルトのものが全曲か。
と再度思ったら、これも間違いで、1936年の、ブッシュ指揮テアトロ・コロンのが全曲らしい( | ソース | )。ただ、’まともに’聞けるのは、やはり(ライブだが)1948年のモラルトのではないか?

いずれにせよ、レヴィに始まる、パルジファルの伝統が、ムックを経由し、クナッパーツブッシュに根差したのは言うまでもない。