Und morgen wird die Sonne wieder scheinen

1/20/2014

CDs of 2013

Stand: 20/Jan/2014

既に時は、2014年の1月の半ば過ぎである。しかし、今更ながら、2013年の音楽の展望(というほどでもないが)を本の少し。

あいも変わらず、ボックスものを買ったが、色々な意味で食傷気味だったのは確か。

1.KlempeerのボックスはEMIから、そして途中からWarnerから出たものを買った。
以前のクリスマスボックスで集めてはいたものの、こういった体系的に揃えることが出来たのはやはり嬉しいし、感動であった。
もっとも、各種レーベルから彼のヨーロッパにおけるライブが出ているので、まだまだ「全集」には届かないが、彼の音楽作り(それは選曲も含め)はやはり驚異的なものであった。



2.Wandのラジオ放送用ボックス、ミュンヒェン・ライブとRCAのボックス
この人の厳しい音楽作りはスタジオでもライブでも同じ。



3.Giulini集大成(DGとEMI)
ヴィーンでのブルックナー第九が極めて素晴らしい(ヨッフムのミュンヒェン・ライブ、チェリビダッケと合わせて御三家入りか?)



4.KnaのTAHRA



5.Monteux/Kletzki IMG

6.Brittenの管弦楽集(EMI)
意外と楽しめた。イギリスの音楽は、ウォルトンが一番好きで、V.ヴィリアムズがその次だが、ブリテンもなかなか面白い。

7.Beinum Tahra
ライブにも関わらず、この完璧な作りは見事。



8.Silvestriのボックス(EMI)

9.Gardinerボックス(DG)

10.Wagnerの箱物(DG、RCA、Soltiのもの)

11.Myra HessとEileen Joyceの選集
珍しくもピアノもの。

因みにがっかりだったのは、スクロヴァチェフスキのボックスと、ブーレーズのマーラー全集。

その他には、10月末に、SonyのBRプレイヤーを買ったこと(SACDも聞ける;専らCD専門)。EMIがWarnerの傘下になった事。
音楽以外では、古典の名作を中心に、映画を見たこと。

Year 2013 and 2014

そういえば、2013年の纏め、及び2014年の音楽の展開について書いていなかたので、ここで一筆。
2013年は、ヴァーグナー及びヴェルディの生誕200年の記念の年だったので、例によってボックスものを買ったし、それをまた楽しんだが、本年2014年もなかなか個人的に好きなのが揃っている。
(*ヒンデミットも没後50年、クレンペラーは没後40年だった)

R.シュトラウス、生誕150年、
C.Ph.E.バッハ、、生誕300年、
フリッチャイ、ジュリーニ、クーベリック、コンドラシン、生誕100年

で、各種そそるようなボックス物が出る予定だが、果たして、DGのフリッチャイ及び、Philips=>Deccaのコンドラシンは出るのであろうか?DG、Sony、EMI/Warnerは既にジュリーニを出した/出す予定だが、DGは同じく、クーベリック、フリッチャイもある。この二人はかなりの量を録音しているし、流石に全集はおいそれと
でないかもしれない。
ジュリーニもかなり体系的に出ているが、EMIのは全録音ではない。
コンドラシンはライブを含めて、それ程多くないので、是非出して欲しいのだが・・・。



10/16/2013

Winter...?

寒い。未だ、冬ではないが。

音楽、映画、読書ははまると尽きない。

それにしても、女共は厄介だ。

アーノンクールの40番初めて。まるで、今までの演奏が霞と化した。

2/03/2013

2012 My Personal Academy Price


2012 My Personal Academy Price
last update: 03/Feb/2013 =>要改訂!

それにしても今年もたんまりCDを買った。勿論、それだけ音楽も聞いたが、どうしても、一回だけのものが殆どだし、以前の手持ちのものの再聴する機会もごっそりと減ったりしたのだが、その中でも自分の中で、楽しんだ・発見した・再発見した・心に染みた、ものを幾つか紹介したいと思う。

所謂昨今の「ボックス・ブーム」=これは即ち、売れない、というものを指しているのだが、のお陰で、今年購入したものの殆どは、ボックス物で1枚ものは数点しか無い。

学生時分の昔は、ボックス等の大人買いはもとより、なるべくダブり買いをしないように試みたのではあるが、現今の状況では、如何にダブりをしないか、ダブらない箱を探すのに努めてはいるのだが、収録曲また、プライスが魅力的なので、どうしても、毎月大きいものを買ってしまう。枚数は勿論だが、昔では考えられなかったもの、例えば、一月の買い物の中で、マーラーとブルックナーの全集を一気に購入したこと、しかも2つとも(プレイヤーを所持してはいないが)SACD、が隔世の感がする。
傾向としては、”平民”にはボックスで、”ブルジョワ”には音質重視のSACDとか、何とかというハイクラスのディスクで、二極分化している。

毎度、毎月、毎年同じようなものばかりの内容なのだが、気持ちだけは常に、新しいもの、即ち新しい演奏家、作曲家、作品に接する、というスタンスは変えてない。そういう新しいものに出会った時、世界が広くなったというか、クラシック音楽の未開の地に一歩踏み込んだ気がするのは、やはりこの世界ならではのもの。具体的には、ロイヤル・フィル・第二ボックス、コンチェルト・ケルンのボックス(Warner)、プーランクBOXDecca)と2つのWalton作品集(EMI)、が挙げられる。
それでも、まだ自分の苦手な分野、室内楽、独奏曲、歌曲などはまだまだ遠い世界だし、更に加齢しないと分からないのかもしれない。そういったものも含め、次回、翌年への課題とするのも一興か。

ボックスものに対する値段以外への考えも幾つか。
  • 1.解説書が無い、もしくはあっても、表面的。
  • 2.リマスターの手抜き。
  • 3.各種データのミス。
  • 4.デザイン。


1.はコストを抑える為に致し方無いし、昔なら図書館、今ならネットで充分過ぎる程のデータが得られるのでカスタマーから動けばいい話だが、やはり英独のしっかりとした解説(楽曲の分析や音楽家のエピソードなど)は一読してみたい。
2.これは購買者からでは如何ともし難い。また、新しいリマスター、イコール聴きやすいという常識は無い。EMIのシューリヒトボックスでは、悪名高いベートーヴェンの録音が2012年新規リマスターとなって、非常に聴きやすい物となったらしい。らしい、と書くのは、以前のは聞いていないので。同じくEMIのヨッフムボックスのベートーヴェン及びブルックナーでは、前者はDiskyからのほうが良かった記憶があるし、後者の最新ではないリマスター(一応90年台にしている第二世代)と第一世代のものとドラスティックな変化はそれ程感じなかった。
3.のデータミス、プリントミスは、通常盤でも起こりうるものだから許容範囲だが、トラックの番号振り分け(Living Stereo box)、Sonyの白物ボックスでは雑なものが多かった。
4.箱ものだと、オリジナルのデザインは期待出来ない上に、しょうもない=センスのないものばかり(EMI ICONEシリーズ、Sony/BMGの白物ボックスなど)。その点で、Living Stereo boxは完全に忠実ではないにせよ、オリジナルの(CDでも)懐かしいものがあって、非常に好感が持てた。

さてさて、来年2013年もオチオチしていられない年だ。大物ヴァーグナー、ヴェルディは元より、プーランク、ブリテン、クレンペラーの記念の年だし、1913年生まれの指揮者だと、フルネ、シルヴェストリ(EMI ICONEで箱が出る=>今月購入済み)、ホルライザー、ロヴィツキ、レイボヴィッツなど渋目系の指揮者が満載(ホルライザー辺りはたっぷり出てほしいのだが、期待薄)。


それでは、各種コメントを。


@ Toscanini RCA全録音box

先ずはこれからしないと。これはもう、一人の指揮者の集大成、などというイージーな表現ではなく、一人の音楽家のもつ可能性・歴史での存在・同時代性というものに注目したい。彼がニューヨーク・フィルを引退するまで、実はそれほど録音がなかった。その後、殆ど彼専用のオケ=NBC響に登場して始めて、後世の我々は彼の芸術をー録音における制限があるにせよー確認出来るし、現在までにおける演奏会・録音のレパートリーを確定したのは彼だったし、オケの違いや再録音の醍醐味も決定付けたのも、彼であろう。彼は、プッチーニ、R.シュトラウス、レスピーギと同時代の人だったし、ヴェルディ、ブラームス、マーラーの晩年とも交流乃至身近な存在があった。
改めて俯瞰してみて、それにしても広大なレパートリーだ。勿論制限上、オペラも意外と多くはないし、マーラー、ブルックナー、R.シュトラウスの『アルプス交響曲』も、ウェーベルンもないが、バッハからガーシュインまで音楽史・録音史は大方網羅している。レパートリーの変更・変化はあるにせよ、更にNBCのライブ録音では、もっと他の作曲家にも手を伸ばしている(マルトゥッチ、コダーイ、アッテルベリ等)。そういう意味では、自身も膨大なカタログがあるストコフスキー、カラヤン、シェルヒェン等に多大に影響を及ぼしたであろう。
更に現在でも上演・録音も粗ない、希少価値のものもある。『諸国民の賛歌』(トスカニーニ編)、カタラーニ『ローレライ』、チマローザ、ピツェッティなどであるし、そして、「再発見」したものには、ハイドン、ケルビーニが挙げられる。
個人的に感動したのはきりがないが、先ずはベートーヴェン。これは、小生にとって、高校時代に初めて購入した全集であり、今に至るまでの基準(特に、第四、第五、第八)である。ブラームスの一番の改変には吃驚したし(オクターブ上げ、ティンパニー追加)、ハイドン・モーツァルトの清楚さ、そして清潔さには古楽器にも相通ずる。シューマンの『ライン』では、かつてのライヴァルのマーラー編を使用しているのは以外だった。又、小品も絶品過ぎる程絶品で、偉大すぎるほど偉大。イタリアもののオペラでは歌手が彼好みのもので、違和感を感じたのは事実。


@ Harnoncourt BMG宗教曲box


これには心底驚いた。これに入っているものは全て、当方が何枚も持っているものだし、「よく知っている」ものなのだが、この人の手にかかると、最初に作品が演奏されているかのごとく、響く。彼の解釈だと、決して心地よいものでもないし、安定とか模倣とか伝統とか、というものがちんけに感じる上に、聞き手を常に挑発する。なんという芸術家!曰く、「挑発としての音楽」。昨日より今日、今日より明日、を実現している数少ない音楽家である。
人は誰でも多かれ少なかれ、安定・安住を望んでいる。それは、政治・経済に対する考え、時には望み、そして本来それとは間逆に位置するはずである芸術の世界でも、大よそそうであり、『運命』、『春の祭典』、『エレクトラ』なども古典の領域に入って久しい。そういった耳で、彼の演奏を聞くと、一種の居心地の悪さ、を感じるのも事実。私も嘗てそうだった。しかしながら、ルーティンではなく、新鮮さ・刺激を求める時には、彼のものは特効薬である。そして、それは表層をなぞったものではなく、心の襞まで真通した、真の芸術がそこにある。
彼はとても、面白い。ブルックナー、ヴェルディ、バルトークをレパートリーを加えたのは驚きだったが、更に「西洋音楽」の最傍流である、ガーシュインを上演した(何と80歳で!)のには、驚愕以上に尊敬である。通常、高齢化すれば、自分のレパートリーを絞り、傑作しかやらないのが大方のマエストロなのだが、彼はそういったものに敢えて挑戦し、進化が止まない青年であると思う。
このボックスには、彼の再録音のものだがー『レクイエム』、『クリスマス・オラトリオ』、『天地創造』、『四季』、『メサイア』-彼の終わりなき「青年性」と円熟味という完成度が高度に混じりあっている。
語弊があるかも知れないが、全て面白かった。単純だが、「おー」、「あー」、「ほー」と原始的な表現が頭によぎり、そういったものに巡り合ったことへの嬉しさも感じた。


@ Living Stereo box

兎に角圧巻の内容。数年前に韓国製で出回ったが、今回は更にお安くなって、欧州仕様での物。中身はライナー、ミュンシュ、モントゥー、ラインスドルフ、ハイフェッツ、ルービンシュタイン、モッフォなど、当方が好きな音楽家が、素晴らしい録音で堪能できた。もう、こうなるとダブリとか、堅いこと言わずに、音楽そのものを楽しんじゃう。以前’普通の’Living Stereoシリーズで買ったものよりも更に音が良くなっている・・・気がするのだが、気のせいかしら?
殆ど、CDWalkmanで聞いたので、ステレオ装置で聞くと違った印象がまたあることだし、それも楽しみの一つ。
初めて、乃至再度で感銘したものは:言わずもがなのライナーのR.シュトラウス、ミュンシュのベートヴェン、ハイフェッツのブルッフなどが最高だった。
FYIとして、ランツァの歌う、「ヴァガボンドの歌」はあの映画の曲になっています。


@ チェリビダッケ・ブルックナーDVD

私はチェリビダッケが好きだが、さりとてなんでもOKという信者ではない。また、彼の演奏は、率直に言ってCDには収まらないし、「正規」盤であるEMIとかDGのより、何も足さない海賊版の方が好きだった。
で、このDVDはかつてLDに出ていたもので、六番だけ教育TVで見た記憶があり、とりわけその第四楽章の強い構築加減は当時ブルックナー初心者でも、圧倒された。
さて、珍しくDVDを買ったが、これは「スペクタクル」映像ではなく、真面目な音楽として「観た」。映像は酷いもので、DVDに慣れた人間にはとてもではないが、見れたものではないが、演奏は極めつけ。彼の芸術を「目で聞く」という通常行わない手段で楽しんだが、その場合だと、彼の徹底されたテンポがなるほど、と、的を射ていると感じた。また、映像主体の商品なので、録音もそれほどいじっておらず、その点も良い。EMIという悪い先例があるから。
そしてなんといっても、「おまけ」の未発表であるところのヴィーンでの第四番も超名演!そして、件の第四楽章コーダでは完全にノックアウトされた。


@ Klemperer boxもの3種(ベートーヴェン、ブルックナー、ロマン派もの-11月発売分)

2013年はクレンペラー没後40年で、EMIのーそれほど代わり映えの無いー集大成が、11月から順次5月まで出る。
チェリビダッケは好きだが、クレンペラーはなんでも好き、そして彼は今でも「私のアイドル」である。その割には、余りコレクションをしていなかったので、ダブリとか、そんなちんけな事は考えずに、盲目的に買います/集めます(当然ながら、EMI録音のコンプリートではない;『マタイ受難曲』、『ロ短調ミサ』、『ミサ・ソレムニス』、『フィデリオ』などは別売ー落ち穂拾い的に追加ボックスとか、未発表ライブ集大成とか、Testamentから出ているヴィーンのライブとか安くでないもんか)。
大体どれも、素晴らしいのでいちいちコメントする必要性は感じられないが、『皇帝円舞曲』はギーレンの『春の声』以来の驚きのJ.シュトラウスであった。


SoltiR.シュトラウスのオペラ


購入した他のボックス物は:Collegium Aureumのボックス(Sony)、ベルリン宮廷の音楽(Berlin Classics)、ヨッフムEMI集大成、ボールト:ドイツ音楽集(EMI)、コンヴィチュニー第二BOXBerlin Classics)、フライシャー・ピアノ協奏曲集(Sony)、Auraライブ・ボックス、カンテッリ・ボックス(EMI)、ロイヤル・フィル・第二ボックス、クレンペラーRIAS録音集大成、クナッパーツブッシュ・ベルリン録音集大成、オッテルロー第二ボックス、シューリヒトEMI集大成、シノーポリ・ボックス(伊DG)、ボッシュ・ブルックナー、マゼール・ブルックナー、ライトナー・ボックス、コンチェルト・ケルン(Warner)、WunderlichEMIボックス、Tafelmusikボックス(Sony)、ドレースデン宮廷の音楽(Berlin Classics)、ハイドン宗教曲集(EMI)、ジンマン・マーラー全集、Wunderlich・未発表BOXSony)、アーノンクール・モーツァルト宗教曲集(Warner)、P.ノイマン・モーツァルト宗教曲集(EMI)、デュトワ・プーランクBOXDecca)、プロコフィエフ・バレエ・映画音楽集(EMI)、シューベルト宗教曲(Sony)、シベリウス交響曲全集・セーゲルスタム、2つのWalton作品集(EMI


その他音楽関係で、CD以外のは
@吉田秀和の死
@石井宏:『反音楽史』

全く関係ないが。
@落語:もともと落語は好きで、毎度というか、一時帰国時に父親から必ずといっていいほど、手持ちの落語CD(志ん生)をコピーしろとか、iTuneに入れろとか、言われおり、今回は素直に、落語を堪能した。有難いことに多くのものが、YoutubeUpされており、父お薦めの金馬の『居酒屋』、母お薦めの『山号寺号』(Youtubeでは柳枝)以外にも、極めつけ談志の『野ざらし』、米朝の『時うどん』(関東では『時そば』)、枝雀の『はてなの茶碗』及び絶品『上燗屋』、小三治の『あくび指南』と『船徳』、柳昇の『雑俳』・『結婚式風景』、歌丸の『草履鍋』、志ん朝の『火焔太鼓』、小朝『巌流島』などなど。その他には、’噺家’風間杜夫の『化物使い』(下手な若手の本家の落語家よりよっぽど板についている)

11/01/2012

1952 Bayreuth

一週間の有給を使用し、毎度グダグダと家でノンビリ。
10月最後の週、週の前は、ヘンデルとか、北欧の小品集などを堪能したが、月が変わり、11月となって今、おいそれとは聞けない曲をタップリと。

実際、『指輪』は全集でいくつか所持しているものの、一年に一回、 聞く・聞けるかどうか分からない。勿論、欲しいもの、いわゆるウィッシュリストにもいくつか入っているのだが、一回きいたら、数年放置(プレイ)しているので、それほど効果的に「利用」しているわけではない。

学生の時には、それこそ、一年に何種類も聞いたものだが、社会人になってからというものの、オペラ、特にWagnerのそれ、更にいうと『Ring』なんか、週末・長期休暇以外には やはり無理。
最後に聞いたのは、何時だったか、どの演奏だったか。



さて、今回は、既に60年という月日が過ぎた、黄金の1952年バイロイト実況。
| ここ | によると一年前の1951年にバイロイト再開後殆ど同じ演目(『トリスタン』以外ーカラヤン指揮)で、『指輪』は2チクルスでカイルベルト担当。この録音は、第二チクルスの方か?その他はクナの『パルジファル』と『マイスタージンガー』で、どちらもCDになっている。

残念ながらカイルベルトは1952-56年しか登場していないが、そのどの演奏も素晴らしい。翌年の1953年のRingチクルスも勿論良いが、こちらのほうもカイルベルト初登場で、しかもいきなりRingだからか、かなり気合が入ったもの(前年度のクナの’パルジファル的な’Ringと大違い)。

時間的に当然のことながら、全てを一気に一度に聞けないが、本日は、『ラインの黄金』と『ヴァルキューレ』のみ。
歌手も脇役・チョイ役まで含め、当時のWagner歌手オンパレード。面白いのは、曲毎に歌い手がやや異なり、ホッターのヴォータン、ヴァルナイのブリュンヒルデ以外は、例えば、『ラインの黄金』で、ヴォータンにヘルマン・ウーデ(あくが強く、悪役的な声。ローエングリンのフリートリヒみたい)、本年度は(Ringでは)フローのみのヴィントガッセン、インゲ・ボルクがフライアとジークリンデ。フンディングがお馴染みグラインドル。1949年のモラルト・リングでは調子が良かったのか、それとも当方がただ気に入ったのか、今回はローゲみたいな声で、軽目で些か場違い的なトレプトウ以外は全て良し。




音は60年の歳月を経ても、バイロイトの音響効果が抜群で、リマスターのせいか、更にクリアーで、ステレオ的プレゼンスがある。特に、『ラインの黄金』の第四場での迫力は、指揮のカイルベルトの気合も含め、圧倒された。 




明日は、引き続き『ジークフリート』へ。尚、題名役はアルデンホーフ。

10/08/2012

Historical Parsifal: Muck

1913年というと、来年で100年、即ち今年だと、99年前。

その頃はまだ、’今時’大戦、今で言う所の第一次世界大戦が翌年に始まる。
小生の父は当然ながら、祖父も生まれたかどうか微妙な年である。
Wagnerは没後30年で、息子Siegfriedは勿論 奥さんのCosimaも存命。バイロイトの統計によると、この年には音楽祭は開かれず。



録音は勿論、旧吹き込みで、よく形容されるような「春雨」というレヴェルではなく、隣で厚い牛肉を焼いていて、時々ポップコーンの音も聞こえる、ようなもの。それでも、テンポ、強弱などは分かる。観賞用ではないのは確かだが、当時の伝統を知る上での史料以上の価値はあると思う。



1927年になると、流石に、技術も上がり、電気吹き込みで、オケもぐっと増えるし、合唱が入っても広がりはあるし、オケとのミックス・バランスも上々。「春雨」は聞こえるが、リマスターが美味いせいか、肝心の中身も消す、程ではない。
尚、この年、ムックはバイロイトで同曲を振っている。

驚くべきは 、そのテンポの遅さ。SPの収録時間が限られている時代にも関わらず、この遅さはやはり「オーセンティック」なものなのか。第一幕の前奏曲は15:55でケーゲルの10:12の約1.5倍。
| ここ | によると、父クライバーの更に遅い、16分というのもあるらしいが。
実際に遅いが、遅すぎる、という感じも無いし、ロマンティック過ぎる、ということもない(ヘルツのはポルタメントかかり過ぎで、音の悪さも重ねて、酔っ払いそうになったが)


恐らく、まともに残っている(全曲では勿論無いが)パルジファルの録音の初めてのものであろう。次は、戦時中のクナの第三幕のもの。全曲はやはり、1951年のバイロイト実況のものまで待つ?と思ったら、1948年のモラルトのものが全曲か。
と再度思ったら、これも間違いで、1936年の、ブッシュ指揮テアトロ・コロンのが全曲らしい( | ソース | )。ただ、’まともに’聞けるのは、やはり(ライブだが)1948年のモラルトのではないか?

いずれにせよ、レヴィに始まる、パルジファルの伝統が、ムックを経由し、クナッパーツブッシュに根差したのは言うまでもない。

9/29/2012

Rosbaud: Die Meistersinger von Nürnberg



『マイスタージンガー』はドイツの、ドイツ的な、非常にドイツ的な作品で、戦後でもMETでは、最後の行がカットされたり、ドイツの過去もあり戦後直ぐ他国ではなかなかに上演機会が困難な作品であった。勿論、この作品のもつ、解釈、特に昨今の脱ドイツ的な上演は、そのコンセプトはいいものの、それ程感銘を受けない。そして、非ドイツである、日本人が聞いても、この作品はかなり熱くさせる。(もっとも、小生この作品、Wagnerの作品の中でも一番苦手で、CDもそれなりに持っているのだが、殊更に好んで聞きたいとは思わない。

また、当方の好みも変わっていて、ドイツ的なものよりも、ラテン的な明るさのもつ(この作品は喜劇です!) 演奏解釈が好きで、特に、ヴァルヴィーゾやクリュイタンスのバイロイト実況がピンと来る。



それでも、最初にこのCDを見た時に、こりゃちょっと、という感がした。
何しろ、イタリアのオケをしかも、ドイツ人だが、非ドイツ的な、いや、あっさりドライ系のマニアックなロスバウトが振っているし、人選間違ってるんじゃないの、と思ったのだが。

しかしながら、歌手は、凄い。バイロイトで歌っていた歌手たちの、引越し公演の趣がある。しかも、ベックメッセーがErich Kunzが歌っているし、ポーグナーのLudwig Weberも堂に入ったものである。ザックスのOtto Edelmannはちょっと弱いが、それでも、OK。



で、注目のロスバウトも、期待通りの薄々、キチキチで宜しいし、チャルメラ・オーボエ、フカフカ・トランペット、モゴモゴ・ホルンのミラーノのRAI管も、「思った通り」ヘタウマで宜しい。

録音はアセテートからのもので、高音がキツイし、レンジが狭いし、なんだかなぁ、なのだが。。。

総合的には、それでも、異端であるようなないような不思議な感じで、楽しめた。