Und morgen wird die Sonne wieder scheinen

11/01/2012

1952 Bayreuth

一週間の有給を使用し、毎度グダグダと家でノンビリ。
10月最後の週、週の前は、ヘンデルとか、北欧の小品集などを堪能したが、月が変わり、11月となって今、おいそれとは聞けない曲をタップリと。

実際、『指輪』は全集でいくつか所持しているものの、一年に一回、 聞く・聞けるかどうか分からない。勿論、欲しいもの、いわゆるウィッシュリストにもいくつか入っているのだが、一回きいたら、数年放置(プレイ)しているので、それほど効果的に「利用」しているわけではない。

学生の時には、それこそ、一年に何種類も聞いたものだが、社会人になってからというものの、オペラ、特にWagnerのそれ、更にいうと『Ring』なんか、週末・長期休暇以外には やはり無理。
最後に聞いたのは、何時だったか、どの演奏だったか。



さて、今回は、既に60年という月日が過ぎた、黄金の1952年バイロイト実況。
| ここ | によると一年前の1951年にバイロイト再開後殆ど同じ演目(『トリスタン』以外ーカラヤン指揮)で、『指輪』は2チクルスでカイルベルト担当。この録音は、第二チクルスの方か?その他はクナの『パルジファル』と『マイスタージンガー』で、どちらもCDになっている。

残念ながらカイルベルトは1952-56年しか登場していないが、そのどの演奏も素晴らしい。翌年の1953年のRingチクルスも勿論良いが、こちらのほうもカイルベルト初登場で、しかもいきなりRingだからか、かなり気合が入ったもの(前年度のクナの’パルジファル的な’Ringと大違い)。

時間的に当然のことながら、全てを一気に一度に聞けないが、本日は、『ラインの黄金』と『ヴァルキューレ』のみ。
歌手も脇役・チョイ役まで含め、当時のWagner歌手オンパレード。面白いのは、曲毎に歌い手がやや異なり、ホッターのヴォータン、ヴァルナイのブリュンヒルデ以外は、例えば、『ラインの黄金』で、ヴォータンにヘルマン・ウーデ(あくが強く、悪役的な声。ローエングリンのフリートリヒみたい)、本年度は(Ringでは)フローのみのヴィントガッセン、インゲ・ボルクがフライアとジークリンデ。フンディングがお馴染みグラインドル。1949年のモラルト・リングでは調子が良かったのか、それとも当方がただ気に入ったのか、今回はローゲみたいな声で、軽目で些か場違い的なトレプトウ以外は全て良し。




音は60年の歳月を経ても、バイロイトの音響効果が抜群で、リマスターのせいか、更にクリアーで、ステレオ的プレゼンスがある。特に、『ラインの黄金』の第四場での迫力は、指揮のカイルベルトの気合も含め、圧倒された。 




明日は、引き続き『ジークフリート』へ。尚、題名役はアルデンホーフ。

10/08/2012

Historical Parsifal: Muck

1913年というと、来年で100年、即ち今年だと、99年前。

その頃はまだ、’今時’大戦、今で言う所の第一次世界大戦が翌年に始まる。
小生の父は当然ながら、祖父も生まれたかどうか微妙な年である。
Wagnerは没後30年で、息子Siegfriedは勿論 奥さんのCosimaも存命。バイロイトの統計によると、この年には音楽祭は開かれず。



録音は勿論、旧吹き込みで、よく形容されるような「春雨」というレヴェルではなく、隣で厚い牛肉を焼いていて、時々ポップコーンの音も聞こえる、ようなもの。それでも、テンポ、強弱などは分かる。観賞用ではないのは確かだが、当時の伝統を知る上での史料以上の価値はあると思う。



1927年になると、流石に、技術も上がり、電気吹き込みで、オケもぐっと増えるし、合唱が入っても広がりはあるし、オケとのミックス・バランスも上々。「春雨」は聞こえるが、リマスターが美味いせいか、肝心の中身も消す、程ではない。
尚、この年、ムックはバイロイトで同曲を振っている。

驚くべきは 、そのテンポの遅さ。SPの収録時間が限られている時代にも関わらず、この遅さはやはり「オーセンティック」なものなのか。第一幕の前奏曲は15:55でケーゲルの10:12の約1.5倍。
| ここ | によると、父クライバーの更に遅い、16分というのもあるらしいが。
実際に遅いが、遅すぎる、という感じも無いし、ロマンティック過ぎる、ということもない(ヘルツのはポルタメントかかり過ぎで、音の悪さも重ねて、酔っ払いそうになったが)


恐らく、まともに残っている(全曲では勿論無いが)パルジファルの録音の初めてのものであろう。次は、戦時中のクナの第三幕のもの。全曲はやはり、1951年のバイロイト実況のものまで待つ?と思ったら、1948年のモラルトのものが全曲か。
と再度思ったら、これも間違いで、1936年の、ブッシュ指揮テアトロ・コロンのが全曲らしい( | ソース | )。ただ、’まともに’聞けるのは、やはり(ライブだが)1948年のモラルトのではないか?

いずれにせよ、レヴィに始まる、パルジファルの伝統が、ムックを経由し、クナッパーツブッシュに根差したのは言うまでもない。

9/29/2012

Rosbaud: Die Meistersinger von Nürnberg



『マイスタージンガー』はドイツの、ドイツ的な、非常にドイツ的な作品で、戦後でもMETでは、最後の行がカットされたり、ドイツの過去もあり戦後直ぐ他国ではなかなかに上演機会が困難な作品であった。勿論、この作品のもつ、解釈、特に昨今の脱ドイツ的な上演は、そのコンセプトはいいものの、それ程感銘を受けない。そして、非ドイツである、日本人が聞いても、この作品はかなり熱くさせる。(もっとも、小生この作品、Wagnerの作品の中でも一番苦手で、CDもそれなりに持っているのだが、殊更に好んで聞きたいとは思わない。

また、当方の好みも変わっていて、ドイツ的なものよりも、ラテン的な明るさのもつ(この作品は喜劇です!) 演奏解釈が好きで、特に、ヴァルヴィーゾやクリュイタンスのバイロイト実況がピンと来る。



それでも、最初にこのCDを見た時に、こりゃちょっと、という感がした。
何しろ、イタリアのオケをしかも、ドイツ人だが、非ドイツ的な、いや、あっさりドライ系のマニアックなロスバウトが振っているし、人選間違ってるんじゃないの、と思ったのだが。

しかしながら、歌手は、凄い。バイロイトで歌っていた歌手たちの、引越し公演の趣がある。しかも、ベックメッセーがErich Kunzが歌っているし、ポーグナーのLudwig Weberも堂に入ったものである。ザックスのOtto Edelmannはちょっと弱いが、それでも、OK。



で、注目のロスバウトも、期待通りの薄々、キチキチで宜しいし、チャルメラ・オーボエ、フカフカ・トランペット、モゴモゴ・ホルンのミラーノのRAI管も、「思った通り」ヘタウマで宜しい。

録音はアセテートからのもので、高音がキツイし、レンジが狭いし、なんだかなぁ、なのだが。。。

総合的には、それでも、異端であるようなないような不思議な感じで、楽しめた。

9/23/2012

プッチーニは甘い。感傷的過ぎる。私にとって。
それでも、Toscaだけは別(最後の終わり方が正直、?だが)。



ところで、ヴィーン宮廷劇場の監督だった、マーラーはこの作品にとってすこぶる批判的だ。Wikipediaによると(恐らく、アルマ・マーラーの『日記』からの抜粋だろう)、

「“第1幕の教皇が登場する場面では、教会の鐘が鳴りっぱなし。第2幕では男が拷問にかけられて恐ろしい悲鳴を上げ、別の男がナイフで刺し殺される。第3幕 ではローマ市の全景、凄まじい鐘の連打、ある中隊の兵士が銃殺される。…今更これを最大級の駄作だ等という必要はあるまい。”(1903年)」

確かに、鐘の音は喧しいのもさもありなん、だが、全体的に見て、決して駄作とはいえないし、小生にとって、かつては「プッチーニ唯一の」聞けるオペラであった。



さて、この戦中のドイツ語版によるものだが、甘さが無く、陳腐な表現をすれば、「ゲルマン的」で、どすこいな演奏である。他にも、R. クラウス、シューヒター、ステレオではシュタインのがある。
当方、非ドイツ・オペラのドイツ語歌唱は好きである。言語もそうだが、分かりやすいからだし、演奏がキッチリ、ハッキリしているからである。

因みに、実写版にはフローリア・トスカはミラ・ジョヴォヴィッチかファムケ・ヤンセンを、スカルピアにはクリストファー・リーをイメージします。

9/19/2012

MDからPCへ。

今宵第二弾。(請求番号はMD_049)

C.Davisの手兵だった、バイエルン放送響のライブで、しかも、彼の縁の地でもあるドレースデンでのライブ。



Sir Colin Davis、スタジオ録音だと、渋い、悪い言い方だと当たり障りのないものがおおいのだが、ライブだと勢い、かなり熱い。インバル同様唸りも大きい。
そういえば、この人の生、残念ながら未だ一度も聞いたことがない。かつてTVでみた、ドレースデンでのモーツァルトの『レクイエム』は灼熱だった(恐らく、ドレースデン爆撃追悼演奏会かなんかだった) 。

1.ブラームス、ピアノ協奏曲第一番
エリザベート・レオンスカヤ(ピアノ):豪快だが、粒のきめ細かいピアノ。気に入った。
2000-11-11、ドレースデン・ライブ




2.チャイコフスキー、『くるみ割り人形』組曲
1988-2、ミュンヒェン・ライブ

9/18/2012

MDからPCデータへ移行プロジェクト。

請求番号はMD_039で...

プロジェクト名、"As You Like It"は、嘘だが、今宵も引き続き。

恐らく、Wagner没後100年時(来年は生誕200年で、更に出費覚悟+クレンペラー没後40年更に更に出費覚悟)の フェスティヴァルかなにかの一貫であろう。シャイーのWagnerも珍しい。しかも、改定版ではなく、初版でやるところがミソ。



1.Wagner、交響曲ハ長調、初版。Brucknerはもちろんだが、初版って、(当たり前だが)プリミティブな響きがして、青っぽくてすこぶる良い。ようは纏まりに欠けているのだが、その分覇気を感じる。



2.Wagner、ヴェーゼンドンク歌曲集 Gabriele Schreckenbach(アルト)
以上、シャイー指揮、ベルリン・ドイツ響 1983-2、ベルリン・ライブ

3.Wagner、『トリスタンとイゾルデ』第一幕への前奏曲と愛の死(録音収録上最後がかけておる、名演だけに惜しい!)
ベルティーニ指揮、WDRケルン放送響(多分Altusで発売されているやつ)

追記:それにしても当時、MD買いたてで、録音方法やら知らないし、ノイズが酷いし、録音レヴェルも高すぎるし、でも、あぁ、なんか情熱もってたなぁ。
MDデータをPCデータへプロジェクト開始!

なんて、大げさなことをいっても意味は無いのだが、ようは320本ほどたまった栄光あるMDをPCへデータを以降。

各種、ホームページを見て、オーディオケーブルを7.99ユーロで買い、編集ソフトAudacity(日本語版あり)で作成。



光栄ある?第一弾は、
1.R.シュトラウス、『家庭交響曲』 Wolfgang Sawallisch指揮ベルリン・フィル(2001-6-17):これ実際にいました。
2.R.シュトラウス、ホルン協奏曲第一番 Wand指揮NDR、Ab Kosterホルン、ライブ
3.モーツァルト、『セレナータ・ノットゥルナ Wand指揮NDR ライブ 

時間があればおいおいやります。

9/17/2012

久しぶりの登場は、兎にも角にも余りにも音楽が体に染み渡ってしまったので、一筆書きたくなる欲求が生まれたから。その名はケンペ。 



ケンペは、-語弊があるかもしれぬが-良い指揮者である。それは所蔵しているそれほど多くない彼の数枚の演奏を聴けば分かるのではあるが、当方はそれほど熱狂的までのファンではない。彼の、R.シュトラウスのアルバム/BOXは別格として(個人的には、方向性は全く異なるがメンゲルベルクのコロンビア録音などと同様永久保存のBOXだと思う)、渋くて普通に素晴らしいドイツの指揮者止まりという考えである。 

その考えを改めさせたのが、このブルックナーの第四番と第五番の演奏で、古くから名演とされているものである。即ち、自然であるが、ごく当たり前に自然で、淡く、何も付け加えるモノも、省くモノも何も無し。品があり、且つコクがある。一切の誇張無しに、予定調和的に進行するわけだが、それでいながら、聴いている時にも、聴いた後にも、自分とそこに流れている音楽と同化したようなある種の錯覚を覚える。実に良い匙加減の抹茶を頂いたものか。 

今までは、彼のそういった解釈が、特にベートーヴェンやブラームスを聞いたときに、しっくりこないで、―趣向を別としてー、満足しなかったのは事実だが、彼の振るブルックナーではそれが良い意味に発揮したのであろう、心にピンと来た。無為・無我でありながら、落ち着くところに落ち着き、心を十二分に開放させてくれた。 

 何でも、ケンペは、ほかの指揮者なら多かれ少なかれ、スコアに書き込みをし、時には自分のスコア・パート譜で演奏するのが常なのだが、彼はスコアだけを信じて、何も書かないそうだ。これは、芸術家・指揮者として、ある種の、エキセントリックであり、レアである。 (確証は出来ないが、彼がライプツィヒ放送響に客演した際の、ヴィーゼンヒュッター版によるマーラー五番の演奏も、そういった彼のスタンスの一つかもしれない) 



そういった事柄が脳裏によぎりながら、他の所謂ブルックナー指揮者による演奏は何とまぁ、「余剰物」が多いものか、と思えてきた。巷間、ブルックナーにはインテンポで余分物を比較的削ぐ演奏が多いが、ケンペのそれと比較すると、クナッパーツブッシュ、フルトヴェングラー、チェリビダッケ、ヨッフムはもとより、ヴァント、スクロヴァチェフスキー、インバルあたりでさえも、「煩く」感じられるのかもしれない。 

 あるヴィスキーの名文句ではないが、「何もひかない、何も足さない」、モノの好例であり、日本の古典芸能や懐石に通じるものがあると、思う。

2/18/2012

快気祝いタンホイザー

一週間の病床より起き上がり、その後の一週間ようやく仕事に復活。ようやく本調子に戻って(咳はまだだが)、音楽を楽しめる、
しかも、ごってりとしたもの=Bruckner, Mahler, Wagnerを楽しめるようになった。

全曲は勿論、抜粋、管弦楽も2週間以上聞いていなかったわけだが、Wagnerに回帰した。


現在屈指のWagnerian、及びWagner指揮者のヤノフスキ(現在2013年の記念の年に向けて演奏会形式で全曲を作成中)がフィルハーモニア管を指揮したこの『タンホイザー』抜粋は
データによると、映画のサントラだそうで、旧いジャケットにはSoundtrack - Meeting Venusとある。



正直いって、清流のように美しい演奏で(ケンペのも美しいのだが、彼のはやはり彼なりの濃さがあるものだ)、BGM風のWagnerに
仕上がっているので、聞いていてがっつりこない。健康食風・和食風のWagnerなのかな。

実演はどうだがしらないのだが、Wagner歌手ではない、テ・カナワがエリーザベト、ハーゲガードのヴォルフラムはこれまた友人思いでもない。
チョイ役のコロのタンホイザー及びヴェーヌスのマイアーは流石だが、やっぱり、スタジオ録音のせいか、全然がっちり来ません。
こんなんじゃ、ヴォータンの一突きで、全員参っちゃいますよ。

1/01/2012

2011 CDs

2011年のCDで特に気に入った、気になったものより。

今年も簡単に。(時間があればコメントなり、批評なりアップします)

新しく買ったものでは、やはりBoxもののオンパレード。


 *ビーチャム/EMIのフランス物、古典派、ハイドン・モーツァルトーもう楽しい楽しい。


*旧盤ながら、DeccaとPhilipsの録音をまとめたSzellの録音―相変わらず凄すぎる!




*アイヒホルンのブルックナー(全集の中のもの)



*クーベリックのSony録音


*ルービンシュタインのショパンーようやくショパン/ピアノが身近になった感じがします。


*セルのハイドン録音集―これも完璧。




*カーゾン/カサドッシュのモーツァルトピアノ協奏曲―両者アプローチは違うが、感銘を受けました。



*プレヴィンのチャイコフスキー・バレエ曲―実に楽しい。




*珍しい所では、チェルニーの交響曲とステンハンマーのBox





*そして最後の止めは、時代もここまできたか、という感が拭えないものの、EMIのチェリビダッケの激安Box

でしょうか。

再聴盤は


*コープマンのC.Ph.E.バッハのボックス



*C.Davisのベルリオーズボックスー私の中でのベルリオーズ・ルネサンス開始



*マークのマリピエーロ/Naxos



*ヤルヴィのマルティヌー



*そして12月聞いたEMIのウォルトン
ですかね。

今年も一杯買いますよ、そして未知の曲を探し続けます。
よいお年を!